プレ講座第1回

プレ講座第1回概要

すまい再生のありかたを考える 増永理彦(神戸松蔭女子学院大学教授 )

今回は、講座実行委員長でもある増永理彦・神戸松蔭女子学院大学教授から 本年4月から約2年にわたって開催される本講座の意義やこれからの予定 が紹介された後に、以下のような概説が行われました。

1.すまい・コミュニティ・家族の60年と今

増永理彦1950年代の高度経済成長期において大都市圏へ人口が集中し、働く人たちの居住を保障するために、大量の住宅を用意することが至上命令であった。
各大都市圏の拡張とともに、ニュータウンや大規模団地が続々開発され、公営、公団、公社の三本柱がフル稼働した。それらによる公共賃貸住宅と民間デベロッパーやビルダーを中心にして、分譲マンションや戸建て住宅が大量に建設・供給されていった。いわゆる「マスハウジング」の時代である。
これらの集合・集住の住宅ストックが、経年とともに劣化の進行が急速である。再生をどう考えるべきか、どのように再生したらいいのか、大都市圏において、待ったなしの大問題になっている。
一方、これらのNTや大規模団地においては、高齢者の急増と子どもの減少、家族規模縮小など家族が大きく変容してきている。それに相関しながら生活やコミュニティも大きく変化し、それにまつわる諸問題が激化しつつある(第2回プレ講座・2月22日・「新住民が出会った地域コミュニティ-新旧住民が混在する近郊住宅都市でのコミュニティ再生」と第3回プレ講座・3月15日「家族の変化にあわせて団地も変わる?」、で事例をあげながら講義される予定)。

2.すまいの再生

大都市圏NT・大規模団地での公共賃貸住宅とマンションに絞って、その居住や再生の実態を直視し、その対応・対策を考えることを本講座のミッションに置く。
その際、①今のすまいに暮らし続ける、②再生は建て替えではなく、リニューアルで対応する、③居住者の事業への参加を徹底させる、の3点を原則としたい。
同時に、すまいの再生においては、経済効果・景気対策もしくは財産価値を最重視のもとで事業を進めるのではなく、すまいでの家族の暮らし・生活・要求そしてコミュニティ形成を大事に考える立場からみていくこととしたい。

3.居住者の参加が大事……事例の紹介

これまでの数十年間の劣化した団地やマンションの再生は、事業者による一方的な建て替え中心であった。 しかしながら他方、一部ではあるが居住者が事業者、管理者、自治体、民間業者などと協力・協働しながら、建て替えではなく保全やリニューアルで住み続けようとしている事例もある。例えば、公共賃貸住宅では、UR都市機構の「武蔵野緑町PT」や「多摩平の森」などであり、分譲では「新狭山ハイツ」、「労住まきのハイツ」などである。 今後の再生を模索するに際し、これらの好事例からは、多くの示唆が得られる。

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